電気自動車である日産リーフとガソリン車のランニングコストの差は?

電気自動車の充電と給油スタンド電気自動車はガソリン代がかからないので、ガソリン車にくらべてランニングコストが安くて済むと主張する人がいます。

その一方で、ガソリン代はかからないけれど、結局は電気代がかかるからランニングコストにそれほどの差はない、と主張する人もいます。

実際にはどちらの方の主張が正しいのでしょうか?

代表的な国産電気自動車である日産リーフのランニングコストを、実際にガソリン車と比較をしてみたいと思います。

日産リーフってどんなクルマ?

日産リーフは、2010年に発売を開始された、100%モーターのみによって走る本格的な電気自動車となります。

モーターとエンジンの両方を使用する、ハイブリッド車とは根本的に仕組みがことなります。

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・航続距離はフル充電で280km

電気自動車に乗るときに一番気になるのは、フル充電でどれくらいの距離を走ることができるのかという航続距離です。

電気自動車は充電をすることのできる場所が限られているため、ガソリン車のように気軽に遠出をすることに不安を覚える人もいるからです。

メーカーのカタログデータをみると、日産リーフの航続距離は30kwhの駆動用バッテリー搭載車で280kmとなっています。

しかし、ガソリン車の場合もそうですが、実際に公道を走った場合の燃費はカタログデータよりも悪くなるのが一般的なので、リーフの場合も実際に280kmh走行できるとは考えない方がいいでしょう。

ガソリン車が満タンで400km~500km走ることを考えると、もう少し航続距離が欲しいところかも知れません。

しかし、自宅の車庫などに設置したコンセントで毎日でも充電可能なことを考えると、それほど不便は感じないと思います。

・パワーよりもモーター独特のトルクの強い走りが特徴

白い日産リーフ日産リーフの車両本体価格は、30kmhの駆動用バッテリー搭載車の中間グレードである「X」の場合で、3,648,240円となっています。

値段的には高級セダン並みですが、リーフの場合は環境にやさしい電気自動車ということで、国の補助金が最大で33万円受けられるようです。

最高出力は80kwとなっており、ガソリン車のように馬力に変換すると約109PSとなります。

ちょうど1,300cc~1,500ccのガソリン車がこれくらいの出力になります。

車重が2,000cc車なみの1.5t近くあることを考えると、明らかに非力なように感じます。

しかし、リーフの最大トルクは254N·m (25.9kgf·m)もあり、これはガソリン車だと2,500ccなみの駆動力ということになります。

しかも、ガソリンエンジンの場合には回転の上昇とともにトルクがアップしていくのに対して、直流モーターの場合は、トルク曲線はフラットであり、低回転であってもつねに最大トルクである254N·m (25.9kgf·m)を発揮することになります。

そのため、実際にリーフに乗ってみると非力感はまったくなく、リーフのオーナーは異口同音に「大排気量のクルマに乗っているような力強さを感じる」といいます。

つまり、街中においてはモーター独特のフラットトルクにより、とても運転のしやすい車ということが言えるわけです。

しかし、最高速度に関しては、トルクがあっても最高出力が不足しているため、145km/h程度までしか出ないようです。

もちろん、日本の高速道路における制限速度は100kmですから、最高速度が145km/hであることで問題になることはまずないといえます。

参考記事:新型日産リーフのグレード別の特徴を比較してみました~どのグレードがお買い得?

日産リーフの公式サイト:https://ev.nissan.co.jp/LEAF/

リーフの実際のランニングコストはどれくらい?

リーフは、最大出力に関してはガソリン車の1,300cc~1,500cc並みですが、最大トルクに関しては2,500ccなみの力強さがあるため、単純に比較対象とするガソリン車を選ぶのは難しそうです。

ここでは中間をとって、2,000ccクラスのガソリン車を比較対象にしてみたいと思います。

・家庭のコンセントで充電すればリーフの圧勝

家庭で車を充電するカタログデータでなく、あくまでも実燃費をもとにしますと、ハイブリッドではない2,000ccクラスの国産車の燃費は、10km/L~11km/L程度になると思われます。

ここでは中間をとって、10.5km/Lとしておきましょう。

レギュラーガソリンの価格を1Lあたり120円とすると、1kmあたりのコストは11.4円ということになります。

こんどはリーフのコストを見ていきましょう。

リーフの30kmhの駆動用バッテリー搭載車を家庭のコンセントを使ってフル充電した場合、1kwあたりの電気料金を25円とすると750円の電気料金が発生することになります。

カタログデータでは、30kmhの駆動用バッテリー搭載車の場合の航続距離は280kmとなっていますが、公道を走った場合にはそれよりも少なくなることを考慮して250kmで計算をしてみます。

750円÷250km=3km/円ということになり、1kmあたりのコストは3円になります。

2000ccクラスのガソリン車の1kmあたりのコストが11.4円でしたから、リーフの圧勝ということになります。

日本の電気料金は世界的にみて高いといわれていますが、単純にここの部分だけを見ると安く感じますね。

逆にいうと、日本国内のガソリンの価格がそれだけ高いということなのかも知れません。

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・充電スタンドを利用するとランニングコストは一気に上がる

家庭のコンセントから充電すると仮定した場合には、ランニングコスト的にリーフの圧勝でしたが、それではコンビニなどに設置されている充電スタンドを利用した場合はどうなのでしょうか?

合同会社日本充電サービス(NCS)の会員の場合、急速と普通併用のカードで月会費が4,200円(税抜き)かかります。

さらに充電をするたびに、急速充電が1分当たり15円、普通充電が1分あたり2.5円かかります。

急速充電の場合は、1回あたり30分までとの決まりがあるようですので、1分あたり15円で充電すると30分で450円となります。

実際に、30分の急速充電でリーフのバッテリーをどの程度充電できるのかは、使用する充電器や外気温などの条件によって変わってくるようですが、目安として50%程度の充電が可能なようです。

ブルーのリーフを充電するつまり、残量が30%の状態から30分間の急速充電をすると、80%程度まで回復をするようなイメージです。

リーフは、フル充電状態での航続距離が280kmですから、30分の急速充電によって140km程度の距離を走れる可能性があることになります。

公道上でのデータはカタログデータよりも悪くなるのが一般的なので、実際にはおよそ120km程度でしょうか。

30分の急速充電の料金は450円ですから、これで120km走れると仮定すれば、1kmあたりのコストは3.75円ということになります。

家庭のコンセントで充電したときのコストが3円でしたから、若干高くなるイメージです。

しかし、これはあくまでも充電をした分だけの料金です。

その他に月会費として4,200円(税抜き)かかることを忘れてはいけません。

1ヵ月あたり1,000kmを走行する人が急速充電器だけを利用した場合、1回の充電で120kmほど走れると仮定すると8回ほど充電することになります。

そうすると8回×450円=3,600円になります。

月会費の4,200円と合わせると、1ヶ月当たりの充電コストは7,800円ということになります。

ここに消費税を加味すると8,242円となります。

1,000km走るためのコストが8,242円ということになりますから、1kmあたりは8.2円ということになります。

2000ccクラスのガソリン車の1kmあたりのコストが11.4円でしたから、それとくらべると多少は割安になりますが、家庭のコンセントから充電をした場合にくらべると、かなりの割高感があります。

しかも、これは1ヵ月あたり1,000km程度の距離を走ることを前提に計算したものです。

普段あまり乗らない人にとっては、さらに割高感が増すことでしょう。

・普段あまり乗らない人が充電スタンドを利用すると割高になる?

たとえば、月に500km程度しか走らない人が、急速充電を4回利用したとします。

450円×4回+4,200円=6,000円となり、税込みだと1ヵ月あたりの充電代は6,480円です。

この6,480円を500kmで割ると、1kmあたりのコストは約13円となり、むしろガソリン車よりも高くなってしまいます。

こういったことを考えてみますと、リーフのランニングコストを2,000ccクラスのガソリン車と比較した場合には、家庭のコンセントからの充電のみで走る分には十分にメリットがあると考えられますが、普段あまり乗らない人が急速充電機をメインで利用する場合には、ほとんどメリットはないと考えられます。

しかも、国からの補助がでるとはいえ、まだまだ高価な車両本体価格も含めたうえでトータルのコストを考えてみますと、2000ccクラスのガソリン車の方がお得になる可能性が高いといえます。

こういったことを総合的に考えた場合、電気自動車というのはランニングコスト的なメリットを考えるよりも、モーターによる静かでトルクフルな走りや、地球環境を真剣に考える人が乗るクルマなのだということが言えると思います。

やはり、トータルのコストで考えるならば、ハイブリッド車が一番なのかも知れません。

文・山沢 達也

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