スマートキーの車が狙われるリレーアタックによるクルマ盗難のあらたな手口

スマートアタックイメージイラスト最近のクルマはスマートキーを採用しているものが主流になっています。

スマートキーを持っていることでドアロックの開閉ができるだけではなく、エンジンもスターターボタンを押すだけで始動させることができます。

そこに目をつけた、リレーアタックという手法によるクルマの盗難が増えているようです。

これまでのイモビカッターを使った以下の記事のような盗難と、リレーアタックはいったいどこが違うのでしょうか?

参考記事:クルマ泥棒たちは2分~3分もあれば容易に車を盗み出します

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簡単にドアの解錠やエンジンスタートができることのリスク

確かにスマートキーは便利です。

カバンやズボンのポケットにスマートキーを入れておくと、ドアノブに触れただけで施錠や解錠ができますし、エンジンもそのままスターターボタンを押せば始動します。

車種によっては、スマートキーの持ち主が近づいたり離れたりするだけで、施錠や解錠ができるものもあるようです。

クルマに乗るたびに、カバンの中からいちいちクルマのキーを探す必要がないわけですから、これまでのキーにくらべると便利になったのは事実です。

しかし、その一方で、こんなに簡単に解錠できてしまったり、エンジンがかかってしまったりして本当に大丈夫なのだろうか、と不安な気持ちになる人も少なくないと思います。

実は、その不安はある意味では的中しているといえます。

なぜなら、リレーアタックという手法で、スマートキーのクルマが簡単に盗難されるようになってしまったからです。

ハイテクを使って便利になると同時に、そのハイテクを逆手にとって悪事を働くものが必ず登場します。

リレーアタックを使うことで、車泥棒たちはクルマのオーナーと同様に、クルマのドアノブに触れただけで解錠をして、エンジンをかけてしまうことができるのです。

暗号化によりスマートキーは安全だと思われていました

スマートキーのしくみスマートキーは、キー本体かクルマに向けてLFと呼ばれる微弱な電波を発進しています。

そしてクルマの本体の方からはスマートキーに向けて、RFと呼ばれる電波を発進しています。

電波が届く範囲は1mほどで、スマートキーとクルマ本体から発進されるそれぞれの電波をお互いに受信して、電子的な暗号が合うことで解錠やエンジンのスタートができることになっています。

そのため、鍵穴をこじ開けられたりするということがないために、スマートキーは盗難に強いというのがこれまでの一般的な認識だったのです。

しかし、リレーアタックという手法が使われることによって、そのセキュリティは簡単に破られることになったわけです。

陸上のリレー競技のように電波をバトンタッチしていく

リレーアタックというのは、スマートキーから発信されている微弱な電波を、クルマのオーナーのすぐ近くに立っている人が持つ特殊な受信機でキャッチし、その電波を増幅して別の中継役人が持つ受信機に送信します。

そして、その中継役の人が持つ受信機から、さらにクルマの近くにいる別の仲間が持つ受信機に電波を送ることで、クルマのオーナーと同じように解錠やエンジンスタートができる状態なってしまいます。

つまり、スマートキーが発信する微弱な電波を何人もの犯人が増幅しながら中継するかたちで、クルマのオーナーがいる位置から、クルマを駐車してある場所まで送り届けてしまうわけです。

陸上のリレー競技のように電波をバトンタッチしてつないでいくことから、リレーアタックと呼ばれているわけです。

スマートキーの電波は、せいぜい1mほどしか届かないから安心だという盲点を、リレーという方法で見事に打ち破ったわけです。

現在のところ、リレーアタックを防ぐための有効な対策は見つかっていないようです。

世の中には、本当に悪知恵の働く人間がいるものです。

あなたが買い物中などに、すぐ後ろをついて歩いてきている人間がいたら、リレーアタックによるクルマ泥棒かも知れませんよ。

盗まれたクルマの行き着く先は?

リレーアタックによりクルマを盗み出すことに成功したとしても、その後はスマートキーからの電波を中継でいなくなってしまうため、一度エンジンを切ると再始動できなくなってしまうはずです。

いったい犯人たちはどのように対応しているのでしょうか?

何らかの装置を使ってその点をクリアしている可能性もありますが、そもそもクルマを再始動することなくすべてパーツにばらして、売り飛ばしてしまう可能性が高いといえそうです。

クルマをパーツにバラしてしまえば、盗難車両だと特定できなくなりますし、車種によってはパーツが高く売れるのです。

たとえば、LEDのヘッドライトなどは片側だけで10万円ほどで売れるものもありますし、ハイブリッド車のパワーユニットなどは非常に高く売れるパーツです。

車種によっては、クルマ1台分のパーツで300万円近くになることもあるようです。

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リレーアタックから愛車を守るにはどうすればいいのか?

狙われたらほぼ防ぎようがないといわれているリレーアタックによるクルマの盗難ですが、対策として何かできることはないのでしょうか?

現在考えられるいくつかの方法を紹介してみたいと思います。

・スマートキーを電波遮断ポーチに入れて持ち歩く

ポーチとスマートキー病院などに携帯電話を持ち込む際に使われるグッズに、「電波遮断ポーチ」というものがあります。

リレーアタックというのは、スマートキーから発信される微弱電波をキャッチすることによって可能になるわけですから、電波が外にもれないように「電波遮断ポーチ」に入れておけば大丈夫ということになります。

ただ、それだとクルマに乗るたびにスマートキーをポーチから出さなくてはならなくなるため、バッグに入れっぱなしでOKというスマートキー本来の利便性はかなり損なわれることになってしまいます。

・スマートキーの微弱電波を解除してもらうことも可能

スマートキーは、ディーラーに持ち込んで微弱電波を解除してもらうことも可能です。

微弱電波が出ていなければ、リレーアタックの被害に合うことは絶対になくなるわけです。

設定をすることで、スマートキーのプッシュボタンを押さないとエンジンがかからなくなりますので、確かに安全性は高くなります。

しかし、ドアロックの開閉やエンジンのスタート時に、バッグからキーを取りださなければならなくなってしまうために、普通のキーレスエントリーと変わらなくなってしまうことになります。

・ハイテクにはアナログ防犯グッズで対応する?

リレーアタックに特化した対策ではありませんが、クルマの盗難防止には古典的な対策がいくつかあります。

たとえば、ハンドルロックです。

リレーアタックによってドアを解錠できたり、エンジンをかけることができたりしたとしても、ハンドルがロックされた状態ではクルマを走らせることはできません。

また、タイヤそのものを固定してしまうタイヤロックなども有効です。

ハンドルロック同様に、たとえエンジンがかかってもタイヤがロックされた状態ではクルマを走らせることはできませんから、盗難防止効果は高いといえます。

ただ、バックからキーを取り出す必要がないというスマートキーの恩恵を受けるために、わざわざハンドルロックやタイヤロックをするというのも、本末転倒のような気がしないでもありません。

文・山沢 達也

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