クルマを売るときには車検が切れるギリギリまで乗った方がお得?~車検の残り1年未満は査定に影響なし

クルマを売るときに、「まだ車検が1年近く残っているからきっと高く売れるに違いない」などと思ってしまう人もいることでしょう。

しかし、あなたのその期待感は、ほぼ間違いなく打ち砕かれることになります。

なぜなら、車検の残り期間が1年未満の場合には、査定時のプラス材料にならないからです。

「車検を取るのに10万円もかかったんだから、車検が1年残っていればその半分の5万円くらいは高く売れるんじゃないの?」

そんなふうに思う気持ちはよく分かりますが、残念ながら車検の残りが1年でも1ヵ月でも、クルマの査定額にはほとんど違いはないのです。

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中古車販売店はむしろ車検のないクルマの方が売りやすい?

あなたが売却したクルマは、中古車販売店を通して新たなオーナーの手にわたることになります。

あなたが1年近くの車検付きで売ったクルマは、そのまますぐに新しいオーナーの手にわたるわけではありません。

しばらくの間、店頭にならんだあとに、新しいオーナーの目にとまることになります。

つまり、新しいオーナーがそのクルマを買おうとしたときには、あなたが売却してから数ヶ月経過しており、その期間の分だけ車検の残り期間も短くなっています。

クルマを売却したときの残りの車検期間が12カ月だったとして、新しいオーナーの手にわたるまでに2ヵ月間かかったとしたら、車検の残りは10ヶ月です。

「車検が1年近く残っているのに、なぜ高く買取りしてくれないの?」と不満なあなたは、自分がそのクルマを購入する新しいオーナーの立場で考えてみてください。

「クルマを購入してけっこうな出費をしたのに、10ヶ月後にまた車検でお金がかかるのかぁ~」

そんなふうに思うに違いありません。

つまり、中古車販売店にしてみれば、車検の残り期間が1年未満のクルマは、非常に売りにくいのです。

むしろ、車検が完全に切れてしまったクルマを、販売時に2年間の車検をつけるようにしたほうが売りやすいといえます。

もちろん、クルマの販売価格に車検の取得費用が上乗せになりますが、新しいオーナーの心理を考えると、購入後2年間は大きな出費はないという安心感は非常に大きいといえます。

中古車販売店は車検切れのクルマの方がありがたい?

車検が残っているクルマを売却したり下取りにだしたりしても、査定額にほとんど影響がない理由としては、中古車販売店が売りやすいということ以外に、もう一つの理由があります。

中古車販売店の中には、自社で修理工場を持っていて、そこで車検を取得できるようなお店もあります。

また、自社で車検を取得することができなくても、提携している業者を通して車検を取得することが可能です。

つまり、中古車販売店にしてみれば、自分のところで車検を取得するようにすれば、それが「利益」につながるということです。

中古車の販売で儲けて、なおかつ車検の取得でも儲けて、二重に稼ぐことができるということになるわけです。

そういう観点から見ると、むしろ車検が切れるギリギリのタイミングの中古車の方が、買取をする側からすればありがたいということになりますね。

査定の基準では車検の残りが13ヶ月以上だとプラスになります

クルマを売却するときの査定の基準には、さまざまなものがあります。

それらの基準をトータルで考慮したうえで、最終的な査定額を算出するわけです。

参考:査定のプロが教えるテクニック

それらの査定基準の中の1つに、車検の残り期間があります。

その基準は、車検の残り期間が13ヶ月以上あると、プラス査定になるというものです。

ただし、プラス査定になるといっても、あまり大きな期待はしない方がよさそうです。

車検を受けたばかりで、まるまる2年近くの車検が残っているクルマを売却したとしても、車検を取得した費用のせいぜい半分程度しかプラス査定にはなりません。

車検切れのクルマはマイナス査定になるというのはウソです

車検切れのクルマを下取りにだすと、マイナス査定になる、などという話を耳にしたことがある人もいるかも知れません。

そのため、あえて車検を取得してからクルマを売却しようと考える人もいるかも知れませんが、これはまったくのウソなので信用しないでください。

せっかく車検を取得しても、査定時には実際にかかった費用の半分程度しかプラスされませんので、大きな損失となります。

車検の残り期間が12カ月未満のクルマは、あくまでもプラス査定の対象にならないというだけであって、マイナス査定にはならないのです。

先ほども書きましたように、中古車販売店は中途半端に車検が残っているよりも、車検が切れているクルマに車検を2年付けて販売する方が、メリットがあるのです。

メリットがあるのに、マイナス査定になるというのは、どう考えてもおかしな話です。

クルマ買取店のなかには、車検が切れるギリギリのタイミングで査定を受けると「車検が残っていないのでマイナス査定になりますね」などともっともらしく説明をするようなところもあります。

しかし、そんな言葉を真に受けてはいけません。

少しでも査定額を低く提示したいために、マイナス査定になるとウソを言っていることは明らかだからです。

そんな悪質なお店にはさっさと見切りをつけて、別のお店で査定を受けるようにした方がいいでしょう。

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車検の残りが1年未満でも自賠責保険分は上乗せになる?

ここまで、車検の残り期間が12カ月未満だとプラス査定にはならないというお話をしてきました。

しかし、これはあくまでも車検の整備費用や手続き関係の費用のことになります。

車検を取得するときにかかる費用には、さまざまなものがあります。

具体的には、以下のような項目の費用をトータルした金額を「車検費用」と呼ぶわけです。

●点検・整備費用
●事務手数料
●検査手数料
●自動車重量税
●自賠責保険料

これらの項目の中で、12カ月未満だとプラス査定にならないというのは、「点検・整備費用」と「事務手数料」の部分ということになります。

この2つは、クルマの整備点検をして車検を取得したお店が受け取る部分になります。

それ以外の「検査手数料」「自動車重量税」「自賠責保険料」は法定費用と呼ばれ、車検を取得するときに一緒に支払うことになります。

この法定費用のうち、自賠責保険料に関しては、残っている期間に応じて月割で査定額に上乗せをしてくれるディーラーや買取専門店が多いようです。

日本査定協会JAAIの基準では、残りの月数に応じてプラス査定となる点数が決められています。

参考記事:日本自動車査定協会(JAAI)とは何をする団体なのでしょうか?  

たとえば、普通車の場合、自賠責保険の残り期間が12カ月だと10点、11カ月だと9点、10カ月だと8点といったように決められており、残り2ヵ月で0点になります。

1点につき1000円のプラス査定になると思われますので、自賠責保険が12カ月残っている場合だと、10点で1万円がプラス査定になります。

いずれにしましても、車検にかかった総費用を考えた場合、上乗せされるのが1万円程度では、まさに雀の涙といえそうですね。

文:山沢達也

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