中古車展示場で驚くような安い値段で売られている車を発見して、思わずプライスボードを見てみると、「修復歴あり」などと書かれていたりします。
「修復歴あり」というのは、過去に車の骨格部分に影響を与えるような事故を起こして、修復をした履歴があるクルマという意味です。
一般的に「事故車」などといったりもします。
見た目はきれいに修復されてはいても、骨格部分に損傷を受けた過去があるということになりますと、購入後に何か不具合が出る可能性もあるため、実際に買うとなるとリスクが高いと感じる人も多いことでしょう。
それでも、値段が安いのは魅力的なのでどうしても購入したいという人は、どういった点に気をつけてチェックをすればいいのでしょうか?
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実際に修復歴ありのクルマはどれくらい安いのか?
実際に「修復歴あり」のクルマがどれくらいの値段で購入できるのかを、カーセンサーで売られている中古車の中から見てきたいと思います。
想像以上に安い値段で売られていることに驚くと思います。
・5年落ちで走行距離4万kmのプリウスが77万9000円
2012年登録の5年落ちとなるプリウス1.8Sの事例ですが、走行距離が4万1000kmと比較的少ないにもかかわらず、「修復歴あり」のため車両価格は77万9000円と格安になっています。
純正SDナビやバックモニターもついており、5年落ちでしかも走行距離が4万kmのプリウスをこの値段で購入することは不可能ですので、修復歴ありの車両ならではの格安プライスということになります。
同程度の修復歴なしのプリウス1.8Sであれば、130万円~160万円程度が相場となりますので、いかに修復歴ありのクルマが格安かということが理解できるかと思います。
・5年落ち4万3000kmのヴォクシーが110万円
次にミニバンの人気車種であるヴォクシーの事例を見てみましょう。
2012年登録の5年落ちで、走行距離も年式の割に少ない4万3000kmのヴォクシーの2.0 X Lエディションが、109万9000円となっています。
こちらのクルマも純正ナビやバックモニターがついており、装備的には充実しています。
ヴォクシーはミニバンのなかでもかなりの人気車種となりますので、5年落ちで走行距離少な目のクルマがこの値段で売られるというのは、通常はありえません。
同程度の修復歴なしのヴォクシーであれば、150万円~170万円程度が中古車市場での相場となりますので、109万9000円というのは先ほどのプリウスほどではありませんが、かなりの格安感があります。
修復歴ありの車はメリットとリスクを考えて検討する
修復歴ありの車のメリットといえば、これまで見てきましたように値段の安さにあります。
プリウスやヴォクシーといった人気の車種であっても、修復歴ありというだけで数十万円も安く買えるわけでから、その点は大きな魅力となります。
過去に事故を起こしたことがあるといっても、見た目的にはきれいに修復してありますので、素人がパッと見ただけではまず気がつかないと思います。
しかし、「修復歴あり」ということになっている以上はある一定の基準以上のダメージを過去に受けた車であることは間違いないわけです。
たとえば、ドアやボンネットなどが凹んでしまって板金補修や交換などをしたことがあったとしても、そういった車が「修復歴あり」の中古車となることはありません。
なぜなら、車の骨格ともいうべき部分に損傷を受けていないからです。
中古車販売店や買取り店で事故車扱いとなるのは、あくまでもそういった走行性能に影響を与える可能性のある部分に損傷を受けていた場合ということにあります。
そういった骨格部分にあたるところが過去に損傷を受けた車が、なぜドアやボンネットを交換したり補修したクルマに車にくらべて安くなっているかといいますと、やはりリスクがあるからといえるでしょう。
大きな事故を起こして骨格部分がゆがんでしまったような車の場合、フレームの矯正をかけても完全には戻らない可能性もあるからです。
そのため、実際に運転してみるとまっすぐに走らなかったり、ハンドルがぶれたりといった不具合が発生する可能性もあるわけです。
しかし、「修復歴あり」で売られている中古車がすべてそういった不具合が出るのかというと決してそんなことはなく、まったく問題なく走らせることのできる車も少なくないのです。
そういった問題なく走らせることのできる中古車であっても、過去に事故を起こした「修復歴あり」の車というだけで敬遠する人が多いため、需要と供給のバランスから値段が大幅に安くなってしまったりするわけです。
ですから、「修復歴あり」のクルマであるということを気にしない人であれば、あえてそういう車を購入するというのも十分にアリだと思います。
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あえて修復歴ありの車を購入したい人へ
「修復歴あり」の中古車であることを気にしない人であれば、人気車種が相場にくらべてかなり安く買える点は大きな魅力となりますので、購入を検討してみてもいいと思います。
しかし、実際に購入したクルマがまっすぐ走らなかったり、なんらかの不具合が出たりすると困りますので、クルマ選びは慎重に行わなければなりません。
実際にどういった部分に注意をしながら、「修復歴あり」の車を選んで行ったらいいのでしょうか。
・事故車といってもさまざまなレベルがあります
過去に事故を起こしたことのあるクルマといっても、そのダメージの受け方はさまざまです。
たとえば、フロント部分にダメージを受けた事故車であっても、ラジエーターコアサポート程度までの損傷で済んでいる車と、エンジンルーム全体が損傷しているような車では、その意味合いが全く違ってきます。
また、最近のモノコック構造のクルマにとって、ルーフなども車の構造部分と判断されるために、雹(ひょう)の被害などによってルーフの部分を補修したような場合でも、事故車扱いとなってしまいます。
参考記事:塩害や雹(ひょう)の被害も事故車扱いになるって本当?
しかし、実際にはラジエーターコアサポートやフールを損傷を補修した程度では、走行性能に異常をきたすということはまずないと考えていいでしょう。
そういった車が「修復歴あり」ということで格安で販売されているのであれば、購入を検討してもいいと思います
走行性能に問題が出る可能性があるのは、サスペンションなどの足回りにまで影響をうけるような損傷を受けたり、全体的にボディがゆがんでしまうような衝撃を受けた車です。
そういった車は、たとえ格安で販売されていたとしても、購入すべきではないといえます。
ただ、実際に修復歴のあるクルマを購入するときに、過去にどれほどの衝撃を受けたクルマなのかを判断するのはなかなか難しいといえます。
見ため的にはきれいに修復されていますから、知識のない人が簡単に見分けるのは厳しいでしょう。
プロの査定士は、事故によって生じた車の歪を、ボディの隙間に注目することで発見したりします。
修復歴のあるクルマを購入するときには、自分でそういった知識を見つけるか、車の査定に詳しい友人などと一緒に見に行くようにした方がいいでしょう。
買うべきではない「修復歴あり」の車を見分ける方法に関しては、以下のページを参考にしてみて下さい。
参考記事:車の査定ではここがチェックされる!~プロの中古車の評価方法
・試乗をすることや保証内容の確認は必須
修復歴ありの車を購入する際に重要になってくるのは、実際に乗ってみるということです。
中古車販売店の場合、さまざまな理由により試乗をさせてくれないことも多いのですが、修復歴のあるクルマを試乗もせずに購入するというのは、かなりリスキーであるといえます。
どうしても試乗が出来ないようであれば、購入はやめておいた方が無難かも知れません。
参考記事:中古車の試乗をさせてくれない販売店があるのはなぜ?
あと、修復歴のある中古車を購入するときに重要になってくるのが、しっかりと保証があるかという点です。
試乗をしたときには問題がないように感じても、あとになって不具合が出て来たりすることもあります。
そのため、ある程度の保証期間を設定してくれるお店で購入するようにしましょう。
中古車の保証期間は年式や走行距離によって変わってきますが、せめて半年~1年程度の保証はつけてもらいたいものです。
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