ドアミラーがあたり前の時代になぜタクシーだけフェンダーミラーなのか?

2台並ぶ白いタクシーかつては、すべての日本のクルマにはフェンダーミラーが装着されていました。

しかし、現在ではフェンダーミラーのクルマを見かけることは、ほとんどなくなりました。

唯一、頑なにフェンダーミラーを装着し続けているのが、タクシーです。

ドアミラーがあたり前になった現在において、タクシーだけがフェンダーミラーにこだわり続けている理由はどこにあるのでしょうか?

法律によってドアミラーが禁止されていた時代

1983年3月に道路運送法による規制撤廃があるまで、日本国内で販売されるクルマにドアミラーは許可されませんでした。

しかし、アメリカなどの諸外国で生産されるクルマの多くはドアミラーが主流であったために、日本にだけフェンダーミラーの使用義務があるというのは非関税障壁であるとの批判を受け、規制が撤廃されることになったのです。

ドアミラーが法律により規制されていた理由としては、ミラーを確認する際の視点の移動がフェンダーミラーにくらべて大きくなるというものでした。

特に左側のドアミラーを確認するときには、実際に首を横に向けないとはっきり見えないために、その瞬間が前方不注意になる可能性があるということです。

また、フェンダーミラーにくらべてドアミラーは位置的に後方にあるために、前輪の周辺は死角となります。

そのため、巻き込み事故などが増える可能性があると指摘されていました。

しかし、世界の主流はドアミラーであり、デザイン的にも優れていると感じる人が多かったために、1983年に規制が撤廃されると、一気にドアミラーのクルマが増えることになりました。

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なぜタクシーはいまもフェンダーミラー仕様なのか?

バスの後ろを走行するタクシーそれでは、日本国内を走るほぼすべての車がドアミラーとなった現在においても、なぜタクシーだけはフェンダーミラーにこだわっているのでしょうか?

やはり、先ほども書きましたように後方を確認するときに、視点の移動が少なくて済むという理由が一番にあると思います。

視点の移動が少なくなることにより、前方に注意を向けたままミラーを確認できるため、より安全に運転ができるということになります。

また、ドアミラーの場合ですと、左側のミラーを確認するときに、どうしても助手席側に顔を向けることになります。

もし助手席にお客様が乗っていたときに、運転手がちらちらと助手席を見ることで不快感を与えてしまう可能性があります。

特に助手席に乗ったのが女性であった場合には、誤解を与えてしまうかも知れません。

後部座席に乗っているお客様に対しても、ドライバーの顔が頻繁に横を向くことで、会話を盗み聞きしているような誤解を与える可能性もあります。

しかし、だからといってあまりミラーを見ないようにするというは本末転倒で、大変危険なことになります。

また、助手席に乗った人が、大きな荷物などを抱えているときに、ドアミラーだと見えにくくなる可能性もあります。

家族や友人であれば「ミラーが見えないから荷物を足元に下ろしてくれ」などといえますが、お客様に対してそういった指示をするのは、なんとなく気が引けてしまうことでしょう。

それと、これは感覚的なものなのかもしれませんが、実際にタクシーの運転手さんに聞いてみると、ドアミラーにくらべてフェンダーミラーの方が運転をしていて疲れないのだそうです。

タクシーの運転手さんといえども、マイカーとして使っているクルマはドアミラーですから、両方の車を乗りくらべてみると、実感としてそう感じるようなのです。

そういった諸々のことを総合的に考慮して、タクシーにはあえて時代遅れともいえるフェンダーミラーが採用されているということのようです。

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フェンダーミラーをオプションで付けることができるか?

そんなにメリットのあるフェンダーミラーであれば、自分の車もフェンダーミラーにしてみたいと考える人もいるかも知れません。

しかし、数年前までであれば、メーカーオプションでフェンダーミラーの取り付けが可能な車種がいくつかありましたが、現在ではほぼなくなっています。

トヨタのクラウンセダンやクラウンコンフォート、センチュリーといった、およそマイカーで使用することのない車種にのみオプションでの設定があるようです。

考えてみたら、クラウンセダンやクラウンコンフォートはタクシーに使われている車種ですし、センチュリーはハイヤーに使用されることの多い車種となります。

つまり、メーカーはタクシーやハイヤーに使われる車種にのみ、フェンダーミラーの仕様を残してくれているようです。

それだけ、タクシー業界からの要望も強いのでしょう。

しかし、どうしても自分の車をフェンダーミラー仕様にしたいということであれば、ドアミラーの車を自分で改造してフェンダーミラーにすることは合法的に可能です。

ただし、費用的に数十万円の出費を覚悟しなくてはならないために、現実的ではないといえるでしょう。

また、これまでずっとドアミラーの車に乗ってきた人が突然フェンダーミラーの車に乗ると、相当に違和感をおぼえるようです。

運転席からの距離が近いドアミラーにくらべて視点が先の方にあり、ミラーから映る後方の車も小さく見るので、運転しにくいと感じるようです。

確かにフェンダーミラーには視点移動が少なくて済むというメリットはありますが、これまでずっとドアミラーの車にしか乗ったことのない人が突然フェンダーミラーの車に乗るというのは、慣れないためにむしろ危険でさえあるといえるでしょう。

これからの主流はミラーレス車になる?

ミラーのない車ドアミラーが解禁されて34年になり、もはやサイドミラーといえばドアミラーをさすのがあたり前の時代になりましたが、2016年6月にサイドミラーに関する革新的な出来事がおこりました。

それがミラーレス車の解禁です。

ミラーレス車というのは、文字通りミラーのないクルマのことです。

後方をカメラで撮影して、その映像を運転席のモニターに映し出すわけです。

これまでのように、ミラーに映る範囲でしか確認をすることができなかった後方が、取り付け位置や撮影範囲の自由度の高いカメラで映し出すことによって、死角を減らすことができるというメリットがあります。

また、後方の映像を映し出すためのモニターの位置も自由に決められるために、ドアミラーのように大きく視線を前方からそらすことなく、後方確認ができるというメリットもあります。

そんなメリットのあるミラーレス車ですが、問題点がないわけではありません。

ミラーレス車はカメラで撮影した映像をモニターで映し出すために、実際に後方にいるクルマの動きと映像に映し出されたクルマの動きに、タイムラグが生じるといわれています。

クルマの運転というのは、ほんのわずかな時間でも判断が遅れると事故につながる可能性があるために、タイムラグの発生は容認できないところです。

また、ミラーというのは構造的に単純なので、ガラスが割れない限りは後方確認ができなくなるということはありませんが、複雑な映像システムによって間接的に後方を映し出しているミラーレス車の場合、故障というリスクがつねに付きまといます。

高速道路を運転中などに、突然後方が確認できなくなってしまったら、非常に危険な状態になってしまうことになります。

また、これまでずっとドアミラーの車に乗ってきた人が、いきなりミラーレス車に乗りかえた場合、相当な違和感をおぼえるに違いありません。

しばらくの間は、後方を確認しようとして無意識にドアミラーのあった位置に視線を移してしまうような状態が続くと思います。

つまり、ミラーレス車に慣れるまでは、よほど慎重に運転をしないと、むしろ危険を伴う可能性が高いということになります。

文・山沢 達也

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