高齢者の運転を監視する「あんしん運転見守りサービス Ever Drive」とは?

高齢者男性の車の運転高齢者がクルマを運転することで危険が伴うということは、誰もが認識をしているところです。

しかし、地方で生活をしている人たちにとっては、クルマはある意味では生活必需品となります。

都会であれば、歩いて行ける範囲に店や病院などがあったりしますし、バスや電車などの交通機関も発達しています。

クルマがなくても不便を感じることは少ないでしょう。

しかし、地方では買い物に行くにしても店の数自体が少ないために遠くまで行かなくてはならないことも多く、電車やバスなどの交通機関もほとんどなく、仮にあったとしても1日に数本程度しか走っていなかったりします。

そのため、高齢者が車に乗ることが危険であるということは、高齢者自身が一番分かっているはずなのですが、生活ができなくなってしまうために運転をやめることができないというのが実情なのです。

また、家族にとっても高齢となった自分の家族がクルマを運転することは、大きな不安となっているに違いありません。

一歩間違えると、加害者にも被害者にもなる可能性があるからです。

実際に、交通事故による死者数は、全年齢でみると年間10万人あたり4.4人なのに対して、高齢者に限った場合は75歳~79歳で7人、80歳~84歳で11.5人、85歳以上で18.2人と急に高くなっています。

そういった、クルマを運転する高齢者を家族として抱える人の不安を少しでも解消するために、オリックスが「あんしん運転見守りサービス Ever Drive」というサービスを開始しました。

いったいどういったサービスなのでしょうか?

「あんしん運転見守りサービス Ever Drive」の仕組とは?

オリックスが提供する「あんしん運転見守りサービス Ever Drive」は、簡単に言ってしまうと、クルマに設置した専用デバイスからのデータを、家族がパソコンやスマホなどからリアルタイムに確認することができるというシステムです。

GPSによってどこを走っているかが分かるだけではなく、「速度超過」「急加速」「急ブレーキ」といった運転中の異常を感知すると、それがどの場所で起こったかが地図上に記録される仕組みになっています。

特に、急ブレーキの場合には、その強さが「G」で表示されるので、どれくらい危険な状況であったかが具体的に分かるようになっています。

また、連続して2時間以上の運転をしたときや、午後6時以降に運転をした場合にも、危険のリスクがあるということで知らせてくれるようになっています。

もちろん、リアルタイムにデータを見るだけではなく、過去のデータも分析することができますので、高齢者の方が普段から危険な運転をしていないかどうかが、それを見ることで一目瞭然となるわけです。

また、運転中に異常シグナルを関知すると、それをリアルタイムにメールで受け取ることも可能です。

運転の状況がリアルタイムに分かるといっても、高齢者が運転している間ずっとモニター画面を見ているわけには行きませんので、このメール配信サービスはありがたいところです。

メールアドレスも最大で5名まで登録することができますから、複数の家族に登録しておけば、誰も危険シグナルに気がつかないとうことはないでしょう。

事故の可能性がある場合に出動する「緊急時かけつけサービス」

事故現場へかけつける人さらに「運転中5秒以内に何度も急ブレーキを踏み、その後クルマがその位置から動かなくなった」といったシグナルを受け取った場合には、事故を起こした可能性が高いと判断して、「緊急時かけつけサービス」によってスタッフが現場に直行してくれます。

万が一事故を起こしてしまった場合には、高齢者1人ではうまく対応できない可能性もありますので、そういったサービスあると非常に助かるに違いありません。

ちなみにこの「あんしん運転見守りサービス Ever Drive」の費用ですが、初期費用が車載装置取り付け費用も含めて1万円で、あとは毎月2,980円(税別)の支払いになります。

クルマを運転する高齢者がいる家族にとっては、安心料と考えれば2,980円は決して高くはない料金だと思います。

ただし「緊急時かけつけサービス」での出動があった場合には、そのつど別途で費用が発生するようです。

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データをいろいろと活用することが可能

過去の運転データを記録できるということは、それらをいろいろと活用することが可能になります。

たとえば、そのデータを当の高齢者本人にみてもらい、どれだけ危険な運転をしているかということを、客観的に示すことができます。

「自分はまだまだ運転できるから大丈夫」などと思っていても、実際にデータに危険シグナルがいくつも出ているということになれば、それを本人が自覚することができるわけです。

家族がどれだけ危険だから運転は控えてほしいといっても耳を貸さなかった高齢者であっても、自分が危険な運転をしているということにデータを見て気がつけば、認識が変わる可能性があります。

また、過去のデータを分析することによって、過去に何度も急ブレーキをかけたりして危険な運転をした場所などを特定することも出来ます。

いわゆる「ヒヤリハットマップ」といわれるもので、それが分かることで、なるべくそのルートは走らせないように説得することなども可能になるわけです。

若い人であっても十分に活用はできます

車をバックさせる女性この「あんしん運転見守りサービス Ever Drive」は、高齢者の運転を家族がチェックをするという目的だけではなく、若い人が自分自身の運転を確認するためなどにも活用することができます。

自分ではごく普通に運転をしているつもりであっても、客観的なデータを見た場合は、かなり危険な運転をしている可能性もあるわけです。

自分の運転の癖というのは、自分ではなかなか気がつかないことが多いものです。

こういったシステムを使うことで、自分の運転の良くない部分を客観的に知ることができれば、意識的に運転のやり方を修正することも可能になるはずです。

また、万が一事故を起こしてしまったりしたときの「緊急時かけつけサービス」は、高齢者以外の人であっても、十分に頼りになるサービスであるといえるでしょう。

Ever Driveの公式サイト:https://orix-everdrive.jp/

もともとは営業車の運転を監視するシステム

「Ever Drive」のようなシステムは、実はこれまでにも活用されてきた実績があります。

会社などが営業車にこういったシステムを設置して、営業マンが速度違反をしたり乱暴な運転をしていないかというのを監視するために活用してきました。

また、こういったシステムを営業車に設置することで、いわゆる「サボり」や営業車の不正使用も防止できることになります。

こういったシステムがなかった時代には、外回りの営業マンが私用で営業車を使ったり、営業に行くふりをしてサボったりすることは日常的に行われていました。

また、会社の看板が書かれた車に乗っているにもかかわらず、速度違反やマナー違反を繰り返すような非常識な営業マンもいたりするわけです。

そういったことがあると、会社としてもイメージダウンとなりますので、日頃から会社のクルマを使っている人がどんな運転をしているのかを、会社としては把握をしておきたいわけです。

それが、こういったシステムが開発されたことで、現実的に可能になったということになります。

ただ、当のドライバーたちにとっては、勤務時間中ずっと会社から監視されているようで、かなり息苦しさを感じるようになってしまったようです。

会社に帰るなり「コンビニにずいぶん長い間クルマを止めていたね~。ひょっとして立ち読みでもしていたんじゃないの?」などと上司に嫌味をいわれたのではシャレにならないですね。

参考記事:どうしたら防げるの? 高齢者の交通事故

文・山沢 達也

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