高速道路で自然渋滞が起こる意外な原因とは?~渋滞を引き起こす「ザク部」の存在

高速道路の交通渋滞交通量の多い一般道で頻繁に渋滞が起こるのは、普通に理解ができると思います。

信号のある交差点で必ずクルマが停止することになりますので、交通量が多くなればなるほど信号待ちの間に後続車がどんどんつながってしまうことになるわけです。

しかし、信号のない高速道路の場合、なぜ渋滞が発生するのでしょうか?

「事故でもあったのかな?」と思って進んでいくと、そういった形跡はまったくなく、いつの間にか渋滞が解消してしまっていたりします。

こういった原因がよく分からない渋滞を、自然渋滞などといったりします。

そんな経験をするたびに、なぜ高速道路で渋滞が発生するのか不思議に思ったことのある人も少なくないでしょう。

実は、高速道路で自然渋滞が発生する原因の多くは、道路の勾配が変化することによるものなのです。

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自然渋滞以外で高速道路の流れが悪くなる原因~事故・料金所

高速道路が渋滞する原因にはさまざまなものがありますが、いわゆる自然渋滞以外であればその原因ははっきりとしており、ある意味では誰もが納得のできるものばかりです。

一番はっきりとしている渋滞の原因が交通事故によるもので、大きな事故になると、道路全体の通行が不可能となってしまい、車の流れが完全に止まってしまうこともあります。

事故の処理が終わるまで渋滞が続くことになりますが、道路上にクルマがつながってしまっているため、緊急車両の到着も容易ではない状況になってしまうことも少なくないようです。

また、料金所の手前での渋滞も、原因としては十分に納得のできるものでしょう。

ETCが普及する前までは、ゴールデンウィークや年末年始などの交通量の多いときには料金所の手前で大渋滞が起こるのが普通でした。

ETCが普及してきたことによって、料金所での渋滞はだいぶ緩和されましたが、それでも交通量が多くなると渋滞が発生してしまうことも少なくないようです。

ETCによってノンストップで料金所を通過することができるようになりましたが、バーがあるためにどうしても減速をする必要があります。

たとえ料金所をノンストップで通過したとしても、「減速をする」という行為が渋滞を発生させることになるのです。

あとで、詳しく説明しますが、実はこの「減速をする」という行為こそが、高速道路上で自然渋滞を発生させるメカニズムなのです。

実際に、首都高速などではETCが普及した現在でも、料金所の近くで渋滞が発生することが少なくありません。

国土交通省では、ETCのバーを失くした場合に、どれくらい渋滞の緩和につながるのかについて、検討を始めたようです。

高速で自然渋滞が発生したとき先頭の車両は何をしているのか?

交通事故でもなく、近くに料金所などもないにもかかわらず高速度路上にクルマが連らなってしまう、いわゆる自然渋滞が起こることがあります。

そんなとき、「先頭のクルマはいったい何をしているのか?」と疑問に思う人も少なくないでしょう。

結論からいってしまえば、実は先頭を走っているクルマは特に何もしていないのです。

先頭のクルマは、何ごともなかったかのようにスイスイと走っています。

ただし、スイスイと走ってはいるのですが、本人の気がつかない間にちょっとだけ減速をしてしまっているのです。

実は、その本人の気がつかない間にちょっとだけした減速が、自然渋滞を発生させていたのです。

自然渋滞が発生しやすいのはザク部と呼ばれる谷の部分です

ゆるやかな下り坂での車渋滞高速道路では信号がないため、走りが単調になりがちです。

そのため、走行中は意外に気がつかない人も多いのですが、高速道路というのはかなりのアップダウンがあるのです。

平坦なように感じていても、実は下り坂だったり上り坂だったりするわけです。

そのため、同じアクセルの量を踏んでいたとしても、勝手にスピードがアップしてしまったり、逆にいつの間にかスピードがダウンしてしまっていたりするのです。

高速道路上における自然渋滞というのは、実はこうした下り勾配から登り勾配に切り替わる地点で発生しやすくなるのです。

こういった、道路の谷となる部分を「ザク部」などと呼んでいます。

ザク部では、下り勾配で思った以上にスピードが出てしまっている状態から、今度は上り勾配となってしまうことで急にスピードダウンをしてしまうのです。

そして、先ほどETCのところでも触れましたが、この「減速をする」という行為こそが、渋滞を発生させることになるのです。

自然渋滞の名所(?)と呼ばれるようなところは、たいていこの「ザク部」の状態になっています。

東名高速道路の大和トンネルや岡崎IC付近、中央高速道路の小仏トンネルや相模湖インター付近、東北道の羽生PA付近や上河内SA付近など、これらの場所はすべて下り勾配から登り勾配に変化をする「ザク部」となっています。

最近では、そういったザク部で「スピードダウンに注意」という看板を見かけることも多くなっています。

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先頭の車両が減速をするとなぜ渋滞につながってしまうのか?

ザク部を走っている先頭の車両は、停車しているわけではありません。

本人の気がつかない間に、ちょっとだけ減速をしてしまっただけです。

速度的には、わずか10km/h程度のスピード低下だと思います。

それなのに、なぜその後方で渋滞が発生してしまうのでしょうか?

それは、後続車による連鎖的なブレーキングが原因なのです。

自分の前を走っている車のスピードが急にダウンした場合、どうしても車間距離が詰まってしまいますので、追突しないようにブレーキを踏むことになります。

そして、その後ろのクルマも同じようにブレーキングします。

このブレーキングが連鎖的に起こることによって、列の後ろになればなるほどスピードダウンをすることになり、最後には停車してしまうクルマが発生することになるのです。

参考記事:渋滞中の高速道路を走るときは左側車線を走った方が早く目的地に着く?

後ろのクルマのスピードが徐々に落ちてしまう理由

たとえば、先頭を100kmで走っていたクルマがザク部で90km/hまで減速してしまったとします。

10km/hのスピード差が生じた場合、そのままのスピードで走っている後続車との車間距離は5秒間で14m縮まることになります。

そのため、後続車はあわてて車間距離をもとに戻そうとしますが、5秒間かけて縮まってしまった距離を、同じように5秒間かけてもとの車間距離に戻そうとすると、先行車両の速度が90km/hですから、さらに80km/hまで減速しなければならないことになります。

さらに、その後続車も同じように車間距離を保とうとすると、70km/hまで減速する必要がでてくるわけです。

このようにして、何十台もの後続車が車間距離を保つために次々と減速をしていくことによって、はるか後方を走っているクルマは、最終的に停車をしてしまうことになるのです。

信号のない高速道路で、事故でもないのに自然に発生する渋滞は、このような仕組みで起こっていたのです。

あなた自身が高速道路で渋滞を引き起こす原因の車両にならないためには、まめにメーターを確認して速度の変化にいち早く気がつくようにしたり、クルーズコントロールなどを利用するようにするといいでしょう。

すべてのドライバーがそういったことを心がけていれば、理論的にはザク部での自然渋滞は起こらないはずです。

ザク部以外で自然渋滞が発生する場所~カーブ・トンネル入り口

カーブのある高速道路で渋滞する車高速道路での渋滞の6割~7割は、下り勾配から登り勾配に変化する「ザク部」で発生するといわれています。

それ以外には、どういったところで発生しているのでしょうか?

交通量が多く、先頭車両が無意識に減速をしてしまうような場所であれば、ザク部と同じように自然渋滞を引き起こす可能性があることになります。

たとえば、カーブの手前やトンネルの入り口といった場所です。

高速道路のカーブは、法定速度に対して十分に余裕をもたせたR(曲率半径)で設計されていますので、特に減速をする必要はないのですが、ドライバーによっては恐怖心から無意識に減速をしてしまう人もいるわけです。

また、トンネルの入り口でも同様に、クルマが穴の中に入っていくという恐怖心から、気がつかない間に減速をしてしまったりします。

そういった意識しない減速が発生した結果、ザク部で起こるのと同じようなブレーキングの連鎖が起こり、はるか後方でクルマが停車をしてしまって渋滞を引き起こすということが起こってしまうわけです。

渋滞に巻き込まれてしまったはるか後方のクルマにしてみれば、原因を作っておいて自分はマイペースで走り続ける先頭の車両がうらめしく感じるに違いありません。

文・山沢 達也

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