車検切れの車に対する本格的な取締が開始になります~車検版ネズミ捕り?

パトカー日本では車検の切れたクルマは公道を走ってはいけないことになっています。

もしそれに違反した場合、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が科せられます。

また、違反点数も6点加算となり、30日間の免停となります。

車というのは、乗る人によって使用状況も走行距離も大きく異なるにもかかわらず、一律に2年ごとに車検を受けなければいけないというルールそのものに疑問はあります。

また、世界でもまれな高い車検費用を何とかできないのか、という不満を持つ人も多いことでしょう。

しかし、不満はあるにせよ決まりは決まりですから、それを守らなければ罰せられるのは当然のことです。

ところが、そんな罰則規定があるにもかかわらず、車検切れで捕まったという人の話はあまり聞きません。

交通違反で捕まったという話を耳にするときは、たいてい駐車違反やスピード違反、一時停止違反といった違反です。

日本では車検切れで公道を走っているクルマは、ほとんど存在しないのでしょうか?

そうではありません。

日本国内では、20万台以上の車検切れのクルマが公道を走っているといわれています。

違反をしているクルマはいるにもかかわらず、取り締まりが本格的に行われてこなかったのです。

2018年から実施される車検切れ車に対するネズミ捕り

これまで、ほとんど野放しに近い状態だった車検切れの車に対する取り締まりが、2018年から本格的に行われることになりました。

どのように取り締まりを行うのかといいますと、まさにスピード違反のネズミとりと同じ要領です。

道路わきに設置した専用のカメラでナンバーを読み取り、瞬時にデータを照合します。

そして、車検がきれていることが判明すれば、少し先で待ち構えている警察官が停車を求めるというものです。

スピード違反の場合は、違反を認めてキップにサインをすれば、そのまま車に乗って再び走り出すことができますが、車検切れの場合はそうはいきません。

車検の切れたクルマは公道を走ることはできませんから、そのままレッカー移動されることになります。

参考:車検切れ運行車両対策の実施結果~国土交通省

Nシステムを使って車検切れの車を見つける試みも

監視システム2018年から、ネズミ捕り形式の車検切れ車の取り締まりが本格的に始まるわけですが、これまでまったく取り締まりが行われてこなかったわけではありません。

幹線道路などの上部に、カメラのようなものが設置されているのを見かけたことがあるでしょう。

この装置はNシステムと呼ばれ、通行するクルマのナンバープレートを読み取って、犯罪捜査などに活用されています。

参考記事:車のナンバープレートであなたの行動が監視される時代です
      
このNシステムを使って、車検切れの車を見つけ出すという試みが実際に行われています。

ただし、いまのところハガキによる指導だけで、検挙までには至っていないようです。

なぜ検挙せずに指導だけなのかは不明です。

確かに交通違反の取り締まりというのは現行犯が基本となります。

しかし、オービスによってスピード違反をした車両が実際に検挙されているわけですから、Nシステムによって証拠が残っているのであれば、車検切れも同様に検挙できるはずです。

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民間業者との連携による摘発も進めていくようです

ネズミ捕り方式だと、たまたまその道路を通行したクルマだけしか取り締まりをすることができません。

またNシステムも、主に幹線道路にしか設置されていませんので、街中でしか利用していないような車を摘発するというのは困難です。

そこで、国土交通省は民間の業者と連携することによって、車検切れの車を根こそぎ摘発することも考えているようです。

たとえば、ガソリンスタンドやカー用品店、クルマの買取り業者といったところと連携して、「通報」という形で摘発できるようにするわけです。

また、駐車違反の取り締まりも民間に委託されていますが、そういった駐車違反の取り締まりのときに、車検切れ車両の取り締まりも同時に行うというようなことが行われるようになるかも知れません。

民間業者による車検切れ車両の発見を容易にするために、国土交通省ではフロントガラスに貼る検査標章を見やすくすることなどが検討されているようです。

国が車検切れの車の取り締まりを強化することになった理由

黄色の車これまで長い間、ほぼ放置状態だった車検切れ車両の取り締まりに、国が本腰を入れ始めたのには理由があります。

車の車検が切れているということは、自賠責保険も切れているのが普通です。

もしそういった無保険のクルマが交通事故を起こしてしまった場合、被害者に対して十分な補償をすることができません。

無保険車両が事故を起こしてしまって、被害者にまともな補償ができないような状態のときには、国が加害者に代わって立て替えをする形で補償を行っているのです。

実は、その額がバカにならないのです。

国が立て替えをしている補償額の合計は、年間で10億円ほどにもなるのだそうです。

もちろん、国が立て替えるのはあくまでも一時的ですから、無保険車両を運転していて事故を起こしてしまった当の本人は、いずれそのお金を国に返済しなければなりません。

しかし、車検や自賠責保険が切れている車に乗っているような人は、経済的にも厳しい状態になっていることがほとんどです。

お金がないから、車検を受けることができないし、自賠責保険に加入することもできないわけです。

国としても、そういった人から立て替えた分を回収するというのは、容易ではないわけです。

ちなみに、自賠責保険切れの車を走らせると、こちらも車検切れと同様に罰則があります。

1年以下の懲役または50万円以下の罰金となっていますので、むしろ車検切れよりも厳しい罰則となっています。

違反点数は、車検切れと同様に6点です。

車検切れの車は同時に自賠責保険切れであるのが普通なので、両方を合わせると違反点数は12点となり、90日間の免停ということになります。

自分のクルマが車検切れになっていることに気がついたら?

このように車検切れや自賠責保険切れの車を公道上で走らせると、かなり重い罰則が待ち構えているわけですが、もし自宅にある車の車検や自賠責保険が切れてしまっていることに気がついたら、どうすればいいのでしょうか?

もちろん、車検場まで運転をしていくなどということは、絶対にできません。

レッカーに乗せられた車そこで、整備工場にお願いをして、ローダーやレッカーなどの特殊車両を使って運んでもらうことになります。

ただ、すべての民間車検場がローダーやレッカーを所有しているとは限らないので、事前に確認をしておかなくてはなりません。

もし近くにローダーやレッカーで運んでくれるような民間車検場がなければ、仮ナンバーを取得して自分で運転をして運ぶこともできます。

仮ナンバーを取り付けることで、車検切れの車であっても5日間だけ公道を走らせることができるのです。

参考記事:白地に赤い斜めの線が入った仮ナンバーってどんな車に適用される?
     
ただし、気をつけなければいけないのが自賠責保険です。

仮ナンバーを申請するにしても、自賠責保険の切れているクルマは公道を走らせることができません。

通常、車検の期限よりも自賠責保険の期限の方が1ヵ月間だけ長くなっていますが、これはうっかりと車検が切れてしまったときに、仮ナンバーで公道を走らせることができるようにするためです。

もし、車検が切れてから1ヵ月以上過ぎてしまっているときは、自賠責保険も切れてしまっているはずです。

その場合は、とりあえず1ヵ月分だけでも自賠責保険に加入したうえで、仮ナンバーを申請する必要があります。

文・山沢 達也

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